こんにちは!茶柳会インターンの奥村です。

2024年10月5日、南米ペルーのリマでお茶会が開かれました!
会場は、世界文化遺産にも登録されているセントロ旧市街地にある美術館 Casa O’Higgins-PUCP。弊団体代表の砂川が亭主を務めました。ペルー裏千家協会の協力の元、日本の抹茶と茶の湯の魅力を、ペルーの方々に体験していただくひと時を作りました。

「ペルーのどんなところで?」「どんな茶会だったの?」──気になる茶会の様子や、現地での反応について、インタビュー形式でまとめました!

歴史ある街並み ペルー・セントロ旧市街地

ー本日は2024年10月に実施されたペルーの首都リマの旧市街・セントロ地区での「立礼席」についてお聞きしたいと思います。

茶柳会代表の砂川孔明です。よろしくお願いします。

ーまずは、リマのセントロ地区やお茶会を開催した美術館について教えて頂けますか

ペルーの首都・リマのセントロ地区は、スペイン植民地時代の建物が残る旧市街地で、世界遺産にも登録されています。教会や美術館、クラッシックなホテルなんかも多くて、凄くヨーロッパっぽい雰囲気なんですよね。

旧市街地・セントロ地区にあるリマ大聖堂

           

街を歩いているとクラッシックカーが走っていました。

セントロ地区を走るクラシックカー

遠く離れた異国の地 ペルーでの「立礼席」

ーそんな場所で、今回「立礼席」の茶会を開かれたんですね。そもそも立礼席って、どんな形式なのでしょう?

立礼席は、椅子に座ってお茶を点てるスタイルのお点前なんです。                      通常の茶道では畳の上に正座をして行いますが、それに比べて立礼席は、足腰に負担が少なく、よりカジュアルに参加してもらいやすいのが特徴です。

もともと、海外からの来賓にも気軽にお茶を楽しんでもらいたいという思いから生まれたお点前なんです。

立礼席のお点前をする代表の砂川
初めて見る立礼席のお点前に興味津々の参加者

ー立礼席と共に、今回の茶会で特に注目したのが、「見立て」という考え方です。具体的にはどういったことを指しているのでしょうか?

「見立て」というのは茶道の世界でよく使われる発想で、本来の用途とは違うものを別の意味や役割に”見立て”て使うことなんです。

例えば今回の茶会では、現地のマーケットで見つけた陶器を建水(けんすい)の代わりに用いたり、蓋置(ふたおき)には、日系人の方がペルーの土で作った焼き物の作品を使いました。

湯や水を捨てる建水として「見立て」たペルーの陶器
釜の蓋を置いたり、柄杓を引いたりする蓋置に「見立て」た焼き物

ーすごく素敵ですね。その「見立て」に込めた思いって、どんなものだったのでしょう?

茶会の中では、参加者が拝見をする際に、「実はこの蓋置、ペルーの方が作ったものなんです」とお伝えする場面がありました。
驚いた様子で道具を眺め、「まさか自分の国で作られたものが、茶道の道具になるなんて!」と反応される姿が印象的でした。

立礼席や道具について学ぶ参加者

開催にあたっては、事前に現地のマーケットや陶器が買えるお店をまわり、茶道具として使えそうな現地のものを探しました。
参加者にとって遠い異国の文化と思っていた日本の茶道が、「よく見てみたら、あの道具、うちの国のじゃない?」と感じてもらえるような、そんな”身近さ”を演出したかったのです。

今回は『見立て』道具に加えて、茶筅(ちゃせん)の”篝糸(かがりいと)”に赤と白を使って、ペルーの国旗を表現することで、ペルーと日本の友好と繋がりをお伝えできたかと思います。

ペルーの国旗の色、赤と白を篝糸に用いた茶筅

ー参加者の皆さん、どんな反応でしたか?

初めて目にする立礼のセットに、参加者の方々は興味津々でした。日本から持参した干菓子と懐紙に、ペルーのマーケット(メルカド)で購入した茶碗や水指を合わせて使っていることを伝えると、「自分たちの国の焼き物が、こんな形で日本の文化に使われているなんて!」と驚きとともに喜んでくださいました。

日本から持参した季節の干菓子と懐紙
ペルー裏千家協会からお借りした立礼席セットと水差し

ーご自身の国の道具が茶道具として使われていると知ったら、きっと嬉しいですよね。

そうですね。「見立て」という考え方についてもお話の中で簡単に触れたのですが、皆さんとても熱心に聞いてくださいました。
日本の文化の中に、自分たちの身近なものが活かされていると知ることで、より親しみを感じてくれたのではないかと思います。

ーでは、海外で立礼席を開催してみて、ご自身としてはどのようなことを感じられましたか?

やっぱり、立礼席はもともと外国人をもてなすために考えられたお点前なので、椅子に座って無理なく楽しんでもらえる点がすごく良かったです。
それにしても、これだけ立派な立礼セットが地球の裏側にあるというのは、自分でもちょっと驚きでした(笑)。ペルー裏千家協会とペルー日系人協会の皆さんに感謝です。

講義を真剣な様子で聞く参加者たち

ーまさに、立礼席の本来の目的が活きた場だったんですね。

はい。あとは、これはいつも心がけていることなのですが、
現地の茶文化と日本の茶文化の共通点についても事前にリサーチして当日お話しするようにしています。そうすることによって、「遠い国の文化」だと思われがちな日本の茶の湯を、少しでも身近に感じてもらえるようにしたいと考えています。こうした小さな工夫によって、茶の湯や茶道という文化への関心が高まるように思います。

ー日本のおもてなしの心を、ペルーの素材にのせて届ける。すばらしい交流の形だと思います。本日はインタビューに応じてくださり、ありがとうございました。

参加者の皆様との集合写真

茶柳会は今年も楽しい茶文化交流イベントをたくさん企画しています!
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